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  沖縄移住が心の逃げ道


 はじめに
2006年12月31日、滋賀県大津市において、殺人未遂事件が起きました。「容疑者である祖父(80)は、就寝中の同居の孫(23)の首を文化包丁で切ろうとしたところ、包丁を避けようとして孫は右手を切って軽症を負った。孫が家から逃げたため、祖父は滋賀県大津署に出頭し判明した。取調べに対し祖父は「ひきこもりで両親に暴力を振るう孫の将来を悲観してやった」と供述している(毎日新聞 2006年12月31日14時11分)。」この事件は、引きこもっている青年を抱えた家族の苦しみが起こしたものであり、その背景には、先の見えない長い引きこもり生活と家族への暴力、本人との関わりの難しさ、そして家族の疲労が伺えます。このような辛さを抱えている人は多く、引きこもりにある人数は、推定で100万人以上はいるだろうとされています。また、引きこもりの家族会の調査によると、引きこもりは、思春期から青年期で多く、持続期間は3年以上が最も多いという結果が得られております。即ち、引きこもりは、長期での社会参加を阻害し、家族崩壊をも招きうる深刻な問題であるといえます。この事態に伴い、厚生労働省やテレビ番組などで様々な対策や情報提供がなされており、社会的にも関心が寄せられております。今回は、青年期の自己形成について、引きこもりを例として自己を取り戻す過程で何が大切であるのかについて考察したので、ここに報告致します。
  
第1章 自我同一性の発達

第2章 自我同一性混乱の診断的特徴

第3章 同一性混乱の症状論

第4章 社会的引きこもり

第5章 自己を取り戻すために大切なこと



 第1章自我同一性の発達
 人間の発達は前段階の発達課題の達成の上に次の段階に進むと考えました。この漸成的発達段階に於ける青年期の課題は「同一性対 同一性拡散」とされています。同一性とは「自分は何者か」「何者になるか」といった問いかけに対する答えを中心とするものです。一方、同一性形成がうまくいかない場合が「同一性混乱 (identity diffusion)」です。エリクソンは、この青年期に於ける自我と社会との相互関係によってもたらされる心理・社会的危機のプラスの方向の産物として自我同一性の確立、マイナス方向の産物として自我同一性の拡散(混乱)を考え概念化しました。また、エリクソンは、「同一性の危機の段階であるからといって、同一性形成そのものは、青年期に始まるわけでも、終わるわけでもない。つまり、同一性形成は、その大半が生涯にわたって続く無意識的な発達過程である。」としました。自我同一性の拡散とは、エリクソンの自我同一性の混乱に替わって、マーシアが命名した用語です。この範疇には、過去に自我同一性の危機を経験したものもいるが、まだ、経験していない者も含まれます。そして、青年期の自我同一性の発達段階にも達していない者も含まれます。即ち、引きこもりというものは、自我同一性の混乱の結果であると考えられ、同様に、早期完了やモラトリアムの延長による青年期そのものの延長といった状況もまた、自我同一性の形成・確立といった共通の課題を抱えていると言えると考えます。


 第2章 自我同一性混乱の診断的特徴

 フロイトが、セクシャリティの病理を人間の本質に見出したのに対し、エリクソンは自我の発達的―社会的な病理、即ちアイデンティティの病理を明確化しようとしました。同一性混乱は、様々な臨床像に共通してみられます。山本は、同
一性混乱の診断的特徴として次のように述べています。「エリクソンが『急性の同一性の混乱』としたように、その経過は、急速な同一性の混乱と退行を引き起こす事が考えられます。そして、自我の成熟と心理・社会的危機が上手くなされるならば、比較的速やかに自分を取り戻していくことが可能となる一過性の危機像であるとも考えられます。」更に、急性の進行の後で、慢性の経過を辿ることも考えられます。第二の特徴は、「急性の混乱と退行を引き起こす契機が見出される点」です。つまり、育ちの中で獲得してきた自己の連続性や斉一性に深刻な亀裂を生じさせるような発達的―社会的な危機や境界(人生の節目)に遭遇しているということです。今日のように、著しい変化と経済的不安定さのある社会に於いては、歴史的―社会的価値が崩壊するかもしれない危機感や、急速な環境の変化による著しい文化的変化等様々な体験が存在します。第三の特徴は、「自我の根源的な脆弱さの問題である。変化する状況と進入してくる異質性にも関わらず、(私が私であり続ける)ことができなくなり、自己像が分裂・断片化し、心の統合的な中心を喪失してしまう。そして、この同一性の混乱と喪失が極度に達し、自我が崩壊した時、統合失調症の急性期にみられるあの不気味な世界没落体験のような状態に陥ることもある(山本、1984)。」しかし、「自我の根源的な脆弱性の問題」であるか否かは、仮説に過ぎないと考えます。ヒルガードは、「統合失調症に遺伝的要素があることははっきりしている。」と述べています。ストレスなどの環境要因説と遺伝子説の両方が統合失調症に関与していること、そして統合失調症に見られる自我の崩壊や世界没落感が症状の一つであることの二点から考えると、山本の言うように「同一性混乱の診断的特徴」として「自我の根源的な脆弱性の問題である」と限定することは、妥当ではないと考えます。
また、エリクソン(1956)は、同一性拡散を示す境界状態の症状論的特徴を簡略に述べているので、それに基づきながら説明致します。


 第3章 同一性混乱の症状論
同一性拡散の危機にある青年は、人生において重要な選択を回避し、モラトリアム状態を続けようとします。打ち込むものも見出しえない状況の中で、身動きがとれなくなり、意欲も失せ一種の麻痺状態に陥ってしまいます。そして、自分を見失い、何を求めているかもわからなくなっていきます。つまり、内的な連続性と斉一性の感覚が崩れてしまうのです。自分を見失った青年は、他者の評価に全神経を集中させ、他者の視線の中でうろたえ、対人的不安と恥ずかしさの感情に
圧倒されてしまいます。そのため、ますます対人場面を避けるようになります。こうなるといかなる活動をしようとも「やった」という達成感や開放感を味わうことが出来なくなってしまいます。人生とは、ある意味で主体的な意志による「望み」の実現過程であるとも言えますが、その様なものとしての人生を体験できなくなってしまいます。即ち、積極的な意志によって人生を形成していくのではなく、起こる出来事にただ身を任すだけで、人生は自分ではまったくどうにも
ならないと感じてしまいます。これは、時間に対する不信、或いは希望の喪失であるとも言えます。明日のことなどどうなるか分からなくなり、時間的展望が失われ、刹那的で時間感覚を書いた体験様式となってしまいます。まさに基本的不信感に占領されてしまった状態であると言えます。つまり、「境界例」や「不安障害」といった病名のついた患者であるという仮の同一性(患者役割としての同一性)を確立することになります。以上が、重症の同一性拡散の症状の概略です。さらに、対人関係に顕在化する病理と、活動性に見られる病理の2つの主題について、引きこもりを例に詳しく考えたいと思います。


第四章 社会的ひきこもり
 社会的ひきこもりについて、厚生労働省国立精神・神経センター精神保健研究所社会復帰部は、「さまざまな要因によって社会的な参加の場面がせばまり、就労や就学などの自宅以外での生活の場が長期にわたって失われている状態」と定義しており、齋藤環は「20代後半までに問題化し、6ヶ月以上、自宅に引きこもって社会参加をしない状態が持続しており、他の精神障害がその第一の原因とは考えにくいもの」と定義しています。DSM−Wでは「社会的ひきこもり」とは、症状名であって疾病単位として認知されておりません。
しかし、社会的引きこもりによる多彩な随伴症状の存在は、治療対象に相当します。頻度順に症状を上げると、対人恐怖、被害関係年慮、強迫症状、家庭内暴力、不眠、抑鬱気分自殺年慮、摂食障害、心身症、心気症状などがあります。いずれの症状も、引きこもりの始まりと前後して起こり、引きこもりの長期化と共に増悪します。また、入院など、何らかの理由で引きこもり状態が中断させられると、これらの症状は急速に改善或いは消失します。そして、一旦消失した症状も、引きこもり状態が再開されると再び出現します。家庭内暴力は、引きこもり事例の約半数に随伴ないし既往として見られます。VTRの事例でも家庭内暴力が見られておりました。暴力を容易に振るう、接近を待っているのに自ら遠ざかるといった行動がありました。前者は、引きこもり状況による一種の退行の一つの形態として家庭内暴力が起こっていると考えます。そして、後者では愛憎という両極端で両価的な心理が根底にあり、抑圧よりも分裂が優位になっていると考えられます。これは、境界性人格障害と類似している点です。このような分裂の背景には、強い虚無感、
無快楽があり、こうした気分が生活のあらゆる場面で不安定さをもたらします。更に、VTRでの弟や母親に対する暴力が見られた様に、唯一の対人関係である親への評価も、「殺しても飽き足りない憎むべき敵」と「それなしでは生きて行けない絶対的依存対象」との間で揺れ動きます。これと平行して自己評価も揺らぎ、誇大な理想自我がプライドへのしがみつきを生む一方で、社会的に無価値な人間という低い自己評価が抑鬱をもたらし、時には企死年慮・自殺企図に繋がることもあります。また、現実検討能力の保持にも関わらず、対人関係、認知、感情、行動といったあらゆる局面での不安定さがあり、「抜け出したいしそうする必要は分かっているけど、抜け出せない」という状態に至ると考えます。即ち、引きこもりとは、単なる甘えや怠惰などではなく、危機的介入を積極的に行うべき青年期に多く見られる問題であると言えます。次に自己を取り戻すために大切な事について一部分ではありますが、論述致します。


第五章 自己を取り戻すために大切な事
 援助者としては、引きこもりの状態像をきちんと見極め、的確にアセスメントすることです。他の疾患である場合、速やかに入院治療を開始する必要があるからです。また、家族と本人を休息させ、その苦しみに耳を傾けることも必要であると考えます。家族が本人を支えていけるよう、家族機能を再構築する事も必要であると考えます。また、本人との関わりに於いて重要な事は、信頼関係を構築する事です。そのためのきっかけ作りは、本人との共通点を探し、共有することが効果的であると考えます。また本人は、苦しみや不安の中にいることを理解し、行動レベルでの変化を求めずに少しずつ対話を重ねていくことの必要性を、家族に伝えることも重要です。つまり、先ずは家庭内という小単位の社会において、自我と社会との相互関係を再構築し、自我の成熟を促すことが自己を取り戻す援助に繋がると考えます。



 おわりに
神田橋條治氏も指摘するように、出口さえ手中にしていれば、実り豊かな経験となります。しかしその一方で、出口の無い引きこもりは容易に様々な病理の温床となります。引きこもり状態にあるということは、適切な援助・介入がなされることで、早期に解決され、社会復帰が可能となります。援助者は、ひきもこもりの出口を手中にするために、多くの学びと共感性を身につけることが必要であることを、改めて考えさせられました。

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